鎌田研究室・小林研究室


概要

 21世紀に入り、高度経済成長期以降、次々と建設された社会基盤構造物の劣化が進んでおり、それらを安全に保つ保全技術の確立が重要となっている。現在行われている金属機器構造物の安全性評価は、金属に生じた“き裂”の寸法・形状評価を目的としている。しかし、き裂が発生・成長する過程や金属組織が変質する過程では、その内部で格子欠陥の形成やナノ・ミクロレベルで組織変化が生じている。そのような現象に敏感な物理特性を計測し、劣化を非破壊評価できれば、さらなる安全性の向上が期待できる。有力な物理特性として、磁性や、弾性・減衰特性、伝導性があげられ、本研究室ではそれらに着目した新しい劣化診断技術の原理的研究を行っている。

 材料劣化には様々あるが、主に、①照射環境下、②高温環境下、③塑性変形による劣化問題に主に取り組んでいる。 それらは、原子力・火力発電プラント、鉄鋼等の高温プラントなどの機器構造物で問題となっており、診断技術の確立は、各種プラントの安全・安心な運用に直結する。特に照射劣化についてこの種の診断技術を総合的に研究しているグループは世界的に無く、国内外の様々な関連研究機関と協力しながら、研究の拠点づくりを進めている。さらに、これらの技術を応用した④金属製品の品質評価の研究にも取り組んでいる。